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月1回の濃厚なサイエンス体験が私の原点。高専から理系国立大へ編入、専攻を変えた理由とは?

ベネッセサイエンス教室の講師のイメージ

小学生のころ、ベネッセサイエンス教室(以下、サイエンス教室)の吉祥寺教室に通っていた今村亮泉(いまむら あつみ)さん。中学校から高等専門学校へ進み、アルバイトができる年齢になってからは同教室で講師として働いていました。そんな今村さんに、生徒と講師の両面から見たサイエンス教室の魅力を聞きました。

自宅教材を使って家で何度も再実験

ベネッセサイエンス教室、吉祥寺教室
ベネッセサイエンス教室、吉祥寺教室

ーー  今日はお時間を頂き、ありがとうございます。講師として約2年間、吉祥寺教室に勤務されていて、この春(2025年3月)、進学のために退職されたそうですね。まずは、自己紹介をお願いできますか?

今村:はい、名前は今村亮泉(いまむら あつみ)です。中学までは地元の学校に通っていて、その後、高校・大学に相当する高専に5年間通いました。東京都立産業技術高等専門学校の荒川キャンパスです。専攻はロボット工学で、2年生から5年生までやっていました。4年生から流体力学の研究室に所属しまして、潤滑油、つまり油ですね。それについての研究を行っていました。この春卒業して、国立豊橋技術科学大学に編入します。

ーー ありがとうございます。生徒としてサイエンス教室に通っていたのはいつごろですか?また、きっかけなどは覚えていらっしゃいますか?

今村:体験授業に参加したのが小学3年生の3月で、そのあと4年生の4月に入会して6年生で卒業するまで通いました。たしか、両親が楽しそうだからやってみたらって勧めてくれたんだと思います。

ーー  そのころの吉祥寺教室も、今と同じ場所ですか?

今村:はい、この建物でした。変わってないです。

ーー  そのころ受けた授業で、記憶に残っているものはありますか?

今村特に記憶に残っているのはやっぱり解剖なんですよ。そのころは、4年生でイカ、5年生でフナ、6年生で目の解剖だったかな。この3つを特によく覚えています。
ほかには力学の滑車の実験。あと、葉っぱの葉脈を取り出す実験。金属を燃やす花火や、使い捨てカイロを作る実験も面白かったですね。僕が小学生のころは、まだプログラミングやロボットなど応用科学系の実習はなかったです。

ーー  初めて解剖を体験したときはいかがでしたか?怖くはなかったですか?

今村:僕は両親が医療関係者なんです。それで、小さいころから人体模型の絵本みたいなものをよく見ていたので全然抵抗がなくて。筋肉とか血管とか、そういうのを面白いと思って見ていたので、解剖のときも本当に楽しいと思ってやっていました。中学生になってから理科の授業でイカの解剖をやったんですが、そのときは、すらすらーっとできました。やっぱり1回やっているから苦もなくできて。
植物系でも、中学生になってから「これサイエンス教室でやったな」っていうのがいっぱいあって。先ほど話した葉脈の実験もそうですよね。
大事なことはサイエンス教室で説明されているから、「そういえばサイエンスの先生がこんなこと言ってたな」って感じで、中学の授業が頭に入りやすかったです。

ーー サイエンス教室での体験が役に立ったのですね。ほかの実験ではどんなところがよかったのでしょうか?

今村:カイロは楽しかったですね。「あっ、これ自分でできるんだ!」という発見があったんです。「カイロが温かくなるのはこういう仕組みなんだ」というのが感覚的にわかりました。鉄の酸化反応を利用しているわけですが、それが自分の体験としてわかったというか。
それに、自分で作ったものを持って帰れるのもいいですね。記憶にも残るし。今でも覚えていますね。自分が講師になってみると、こんなにレベルの高いことをやっていたんだなって改めて思いました

カイロ
5年生で取り組む「長持ちの秘訣」。酸化反応を学ぶ ※授業内容や学年は変更になる場合があります。

ーー ちなみに授業は月に1回ですが、ペースとしてはいかがでしたか?

今村:月1回でちょうどいいと思います。1回、1回の実習が濃厚じゃないですか?やったことがすごく記憶に残るので、1カ月前でも忘れにくいし、結構覚えていましたね。

それから、家で使える持ち帰り用の教材がありますよね。あれがよかったです。滑車の実験でいうと、車とか棒とか滑車として使えるものを持って帰れたんですよ。家に帰ってから滑車を机の下に吊るして、もう1回やったりしていました。持って帰ったら、絶対に家で何かやりたくなりますよね(笑)。なので、授業中に試せなかったパターンを家でやってみるというのはずいぶんやりました。

ーー しっかり活用していただいたんですね。ありがとうございます。

今村:石を調べる授業がありましたけど、そのときの石も一昨年くらいまで家にありました。ホバークラフトもまだ家にあるかも。あれ、ぐるぐる回転しているうちに、すぐに机から落ちちゃいますよね。悔しくて、家で条件を変えて、試行錯誤して何度もやっていましたね。

ホバークラフト
4年生で取り組む「空気の力」。空気の動きを調べ、動く装置を作る ※授業内容や学年は変更になる場合があります。

今村:自宅教材があることで、授業からさらに考察を深めることができたと思います。薬品系でも、ムラサキキャベツ液をもらってきて家で試したりしていました。

ーーそのころ、おうちの方の反応はどうでしたか?

今村:サイエンス教室の授業が終わると、いつも母が迎えに来てくれていました。母から「今日は何やったの?」と聞かれて、授業でやったことを一通り話すのですが、今思えばそうすることによって理解が深まったと思いますね。

ベネッセ文章表現教室で身につけたチカラは卒論にもつながった

文章を書いている子ども
画像提供:PIXTA

ーー 同じころ、ベネッセ文章表現教室(以下、文章表現教室)にも通っていたそうですね。

今村:そうなんですよ。そのころ、文章表現教室はオンラインではなく対面式だったので、同じ吉祥寺教室で授業を受けていました。6年生まで通っていたら、結構書けるようになってきたと思いますし、物事を考える力がつきました。

ーー 先にサイエンス教室に通っていて、あとから文章表現教室に通うようになったんですか?

今村:そうです。文章表現教室は、文章を書くのが本当に苦手だったので両親から勧められて。でも、授業は楽しかったですよ。生徒どうしで書いた文章を発表しあったり、立って自分の文章を読んだりとか。その場ですぐに考え方の共有というか、意見交換をするのが面白かったです。 「こんな考え方もあるんだな」とか「こんな表現もあるんだな」とか、その場ですぐに聞けるのでよかったと思います。

ーー 文章表現教室は月2回の授業ですね。文章を書くのが苦手でも、負担には感じなかったですか?

今村:それは全然ないです。月2回でも全然苦ではなかったです。ただ、そのころって自分の考えを人前に出すのが恥ずかしかったので。そこはちょっと(笑)。

ーー だんだんそういうことが気になってくる年頃ですよね。

今村:そうですね。でも、文章表現教室ってほかの人を批判しないですよね?学校だとやっぱり、ほかの子をバカにしたり、からかったりすることもあるけど、あの教室は環境的にそういうことはないので。

ーー 授業を始める前に、「3つのおきて」を暗唱しますよね。

今村:そうそう、ありましたね。それもあるから、文章を書くのが苦手でも環境としてはやりやすかったです。
文章表現教室に通ったおかげで、文章を書くのが得意とまでは言いませんが、普通に書けるようになったと思います。最初のころは、文章が進まない。書き始めてもすぐに止まっちゃう。今になって思えば、考えることができなかったし、考えても表現することができなかったんだと思います。 文章表現教室を始める前、400字詰め原稿用紙で半分もかけなかったのが、8割くらいならさっと書けるようになったので結構成長できたなあと思っています。

ーー それだけ変化があると自信になりますね。

今村:はい。苦手なことって苦手なまま、ずるずるとそのままにしちゃうじゃないですか。やりたくないから。だから、やる機会があってよかったなって思います。通ってよかったなーって。

ーー 文章を書く力は大人になってもずっと役に立ちますよね。

今村:そうですね。最近では高専の卒論を書きましたが、文章を書くことの基礎は文章表現教室で身についたと思います

*3つのおきて・・・ベネッセ文章表現教室で授業を始めるときに、全員で読み上げるルール。以下の3つがある。①できるところまで、がんばって考える。②ほかの人を、バカにしない。③「どうせ・・・」のような態度を取らない。

生徒さんと接するときは、膝をつき目線を合わせて

ベネッセサイエンス教室の授業の様子
ベネッセサイエンス教室は少人数制。講師によるサポートが手厚い

ーー 小学6年を終えて卒業したサイエンス教室に、今度は講師として帰ってきたわけですが、ここで働いてみようと思ったきっかけはなんでしょう?

今村:6年生の最後の授業くらいから、もう講師をやりたいなと思っていました(笑)。僕は結構好奇心が強いというか、全部やってみたいという性格なんですよ。生徒をやったから、次は先生をやってみたいというのがあって。また、親からは「勉強時間を削るようなバイトの仕方はしないでほしい」と言われていて。その点、サイエンス教室なら土日だけなので。だから、19歳になってアルバイトができるようになってすぐ、面接を受けに来ました。

ーー 講師として見たサイエンス教室はいかがですか?

今村:裏側はこんな感じだったんだっていう(笑)。いや、本当に楽しいです。決して軽い気持ちでやっているわけではないのですが、「働いている感」があんまりないです。生徒さんたちと一緒に楽しく実験をやっているわけなので。

ーー 生徒さんと接するときに気をつけていることはありますか?

今村:そうですね、年中さんから小学1年くらいのお子さんだと、想定外なことをしたり、思うように進まなくて泣いちゃったりする子もいます。そんなときは、隣のグループの講師にほかの生徒さんたちのことを頼んで、1回外に出ました。で、ゆっくり話を聞いて。だいぶ落ち着いたので、あとは教室長に見てもらって自分は授業に戻りました。
日頃、気をつけていることでいうと、生徒さんと接するときは目線を合わせることですね。大人に上からぬーっと見下ろされたら、お子さんは怖いと思うんです。だから当たり前かもしれませんが、膝をついてしっかり目線を合わせて、言葉遣いにも気をつけて、若干声を高めに出すようにしています。優しい感じで、強い言葉を使わないように気をつけていますね。

ーー いろいろと気を配っているんですね。ほかにもありますか?

今村:「〇〇しよう」というだけでなく、名前を呼ぶようにしていますね。ノートに書くのを嫌がったり、話を聞くのを嫌がったりすることもありますが、「〇〇ちゃん、〇〇君、これやってみよう」と、名前を呼んで声をかけると結構やってくれます
あとは距離感を保つというか、こちらは心を開いて接しますが、近くなりすぎないようにしています。

2年間無理なく続いたアルバイト

ベネッセサイエンス教室、吉祥寺教室の室内
吉祥寺教室の室内

ーー 働く場所として考えたとき、環境はいかがでしたか?

今村:環境はすごくよかったと思います。社員さんはみんな面倒見がいいですし、優しいし。何かミスしたとしても、注意はされるても怒られるという感じではなく「改善点を探してみよう」という感じなので。だから2年間続いたというのはあると思います。

ーー ほかにもアルバイトをしたことはありますか?

今村:単発は何度かありますけど、長いのはここだけです。なんでほかのバイトをやらなかったかというと・・・やっぱりサイエンス教室が楽しいから(笑)。あと、「この実験に入りたいです!」って言ったら入れてくれて。解剖が好きなので、動物の目の解剖は2回やらせてもらいました。イカの解剖もいっぱいやりましたね。

ーー 生徒さんたちは、解剖は怖がったりしませんか?

今村:そうでもなくて、結構楽しんでいますよ。最初は「うわー」とか言いながら、解剖バサミやピンセットで恐る恐るやっているんですが、そのうち素手でがっと触れるようになったりするんです。

ーー 解剖の面白さってなんでしょうか?

今村:やっぱり、閉じられているものを自分で開けて中を見られるから。自分の手で発見したほうが印象に残ると思うんですよ。今は、ネットで調べれば解剖の動画や写真はいくらでも出てきますけど、自分の手でやることでいっぱい発見できるんです
授業のときも、生徒さんが「先生、こうなってたよ」とか「これは何?」とか、疑問や発見をいっぱい持ってくれるので、やっぱり楽しかったですね。

ーー それでも解剖は苦手という生徒さんもいますか?

今村:はい、やっぱりどの授業でも1人や2人は気持ち悪いという子もいます。そういうときは手伝いながら一緒にやったりして、無理にはさせません。

ーー いずれ、中学生になればまたやる機会がありますしね。

今村:そうなんですよ、中学生がやることを小4でもうやっているんですから。結構ハイレベルなことをやっていると思います。
サイエンス教室って、勉強しにくるというよりは発見や体験をしにくるところなのかなと思いますね。本来なら、小学生でやるレベルじゃないことをたくさんやってますし。先生側が準備にひいひい言うような手の込んだ実験もありますが、それだけ大変だから、楽しみも大きいのだと思いますね。

やっぱり自然科学を学びたい!大学編入で専攻を変えた理由

顕微鏡で観察
画像提供:PIXTA

ーー 今村さんは、高専を卒業して大学に編入するそうですね。この進路を選ぶにあたってサイエンス教室の影響は何かありますか?

今村:はい、あります!実は、高専ではロボット工学を専攻していたのですが、大学編入にあたって専攻を生命工学に変えたんです。
もともと人体とか生物が好きという気持ちはあったのですが、サイエンス教室に講師として戻ってきて生徒さんと一緒に学びなおすうちにその気持ちが加速したというか。やっぱり、自然科学や人体のことをやりたいと思ったんですよね。

ーー それは大きな選択でしたね。

今村:そうですね。小学生から講師まで、サイエンス教室でやってきたことが結びついた感じです。この前、動物の目の解剖をする実習で、生徒さんたちをサポートしていてやっぱりこの分野が楽しいなあと。理系なので大学院にも進みたいと思っているんですが、この分野でやっていくつもりです。

ーー 小学生から高専を卒業するまで、本当に長い間サイエンス教室に関わっていただいて、ありがとうございます。最後に伝えたいことなどはありますか?

今村:そうですね。サイエンス教室は、自分の知り合いに「こういう習い事があるよ」って勧められるものだと思いますし、もし自分に子どもができて通える年齢になったら、ぜひやらせたいと思っています。そういうサービスになっていると思います。

ーー そこまで言っていただけるサービスもなかなかないですね。本日はありがとうございました。

※カリキュラムや授業の内容は、今村さんの受講当時、または取材当時のものです。内容等は変更になる場合があります。
※本文中の人物写真はイメージです。

\\ベネッセサイエンス教室//
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PROFILE

今村亮泉(いまむら あつみ)

ベネッセサイエンス教室 吉祥寺教室の卒業生。東京都立産業技術高等専門学校在学中、2年間講師として同教室に勤務。2025年4月に国立大学法人 豊橋技術科学大学に編入。

吉祥寺教室

〒180-0004
東京都武蔵野市吉祥寺本町2-5-10
いちご吉祥寺ビル2階
JR中央線吉祥寺駅 北口徒歩8分
京王井の頭線 吉祥寺駅 北口徒歩10分

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