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- 文章表現教室
中学受験の準備に!小学2、3年からスタートしたい、中学入学後も役立つトレーニングとは?
小学生の子を持つ保護者なら、何かと気になるのが中学受験。低学年のうちから無理なくできて、受験後も役立つトレーニングにはどんなものがあるのでしょうか?中学受験指南の第一人者である森上教育研究所の所長、森上展安(もりがみ のぶやす)さんにお話を伺いました。
日本の教育はどう変わる?
新しい学習指導要領に基づく授業が始まり、中学受験だけでなく、日本の教育が大きく変わってきていますね。
そうですね。今、子どもの教育が大きく変わってきています。その根底にあるのは、学習指導要領と関連がある「学力の3要素※1 」というものです。
ここで示されている要素のうち、思考力や表現力についていえば、これまでは、とにかく受け身のやり方だったと思います。読書感想文にしても作文にしても、何か素材を与えられてそれについて書くという。
それが今では、アウトプットしながら考えたり、判断したりするという、そういうことをやろうとしています。
学校でも結構ちゃんとやっているようで、子どもたちはプレゼンテーションが以前に比べてずいぶん上手くなっていますね。私も、NPOで小学生のプレゼンテーション大会を4、5年やっていたんですが、みんなしっかりやってきているなという印象を受けました。
今の教育では、「自分が考えていること」を相手にわかるようにする、または「相手が考えていること」を受けとめるとか、人と人とのやり取りの部分、つまりコミュニケーションを重視するようになってきているんですね。
デジタル化が小学生の学びにもたらす影響とは?
コロナの影響もあって学校でのICT化が進み、小学生もタブレットやノートパソコンで授業を受けるようになりました。そのあたりの影響はどうお考えですか?
正直に言うと、デジタルがなかったころに比べて文章力はすごく落ちていると思います。子どもたちは本を読まないし、計算ができなくなっています。先ほどの「学力の3要素」で言うと、「知識、技能」にあたる部分が、結構ダメージを受けていますね。
ただ、もうすでにデジタルはあるのですから、これを使わない手はありません。
そういう意味では『ベネッセ文章表現教室』のようにオンラインで授業を行うサービスは、やってみる価値があると思いますね。90分の授業は小学生にはやや長いかもしれませんが、クイズ的な要素もあるし、先生と双方向でやり取りできるのがオンラインのいいところです。
『ベネッセ文章表現教室』は小学2年生から受講できますが、この頃から取り組むのがよいのでしょうか?
そうですね、そのくらいから始めるのがいいと思います。考えるスキル、文章を書くスキルは少しずつ身につけていかないと。読むスキルについても、やはりただ読めばいいわけではなく、正しく読むための方法があります。
『ベネッセ文章表現教室』ならば、毎月2回、習慣的にこうした取り組みを続けていけるのがいいと思いますね。
よくある作文教室などで、いきなり「さあ、書いてみなさい」というのはお子さんにとってつらいと思います。
中学受験のカギは読解力
中学受験の最近の傾向についても伺いたいと思います。先ほど、「学力の3要素」に関連して「思考力、判断力、表現力」の話題が出ましたが、中学受験で思考力を問う出題は増えているのでしょうか?
国語科としてはあまり増えていません。一部の難関校では、昔からすごい長文問題を出す学校はありますが・・・。
むしろ国語以外の他教科で、「考える問題」が増えています。選択問題でも、選択肢が5つあって、そのうち「正しいものをすべて選べ」というようなものです。
ある有名な私立中学では、選択肢5つのうち4つが正解という例もありました。2つや3つ選べても不正解になってしまうのですから、これは難しい。学んだことを理解した上で、論理的に考えることができないと正解できません。
国語以外というと、理科や社会で「考える問題」が増えているのですか?
そう、特に理科や社会では、単なる知識を答えさせるのではなく、考えて答える問題が増えています。今起こっている社会問題とか、気象の変動みたいな、そういった課題をどう考えるかですね。
以前と比べて、「出た、見た、勝った」というような羅列型の問題は出なくなっています。社会でいえば、地形とか歴史とかで、「どうしてこうなったのか」を論理的に証明できるような深い理解と、それをアウトプットする表現力が求められていると思います。
国語でも新しい傾向はあります。例えば、論説文と小説または物語文を両方出して、その2つを素材として考えさせるような問題が出てきました。
以前は、読解力を問うにしても、論説文は論説文、小説は小説でそれぞれ出題していたのですが、混合型というか、2種類の文章をデータとして与え、それをどう処理するかという問題になってきています。タイプが異なる2種類の文章を、確実に読み解く力が求められているわけですね。
また、従来と比べて、やや難関の学校とそうでない学校との間で、問題の難しさの差が開いてきている感じがしますね。ある程度の難関校を目指すなら、深い読解に慣れておく必要があります。
小学校低学年のうちから、読解力を磨くトレーニングが必要ですね。その他に、低学年から準備しておいたほうがいいことは何でしょうか?
基本的にはボキャブラリーを増やしてほしい。言葉をたくさん知っている子は、考える手段を持っている子です。
国語辞典でも漢字辞典でもいいですが、辞書類をすぐ横に置いておいて、わからない言葉はすぐ調べる。調べて知ることができると、とても面白いという体験を味わえるといいですよね。
あとは月並みですけれど、本を読む。小さいうちに、本を読むと楽しいという体験をさせてほしい。本を読む習慣が身についていると、結果として語彙も増えます。そういう体験がないと、5年生、6年生と進むうちに、国語が不得意になってしまいます。また、おもしろくないと思いながら文章を読んでも、深読みが全然できないんですね。
中学受験は、活字を読むリテラシーがあるかないか、そこで選別しているようなもの。読解力を身につけることが、最大のカギになると思います。低学年では、やはり本を楽しく読む習慣と、結果として語彙を身につけることに尽きると思います。
読解力と、それを支える語彙力。どちらも低学年から磨いておきたい力ですね。
そうですね。慣用句や外来語、熟語などを覚えて、それが日常生活のなかで使えるかどうか。中学受験ではこれが大きいです。小学4年から本格的な受験勉強をスタートさせるとすると、その前にやっておきたいですね。
慣用句や熟語などの知識の部分は、昔なら本を読むうちに身についたのですが、今のようにビジュアルで、動画で、という時代になると、目で見るより先に耳から入ってくることが多いので、改めて定着させる過程が必要かもしれません。
『ベネッセ文章表現教室』では、授業の導入部で、漢字や言葉についてのゲームをやっていますよね。こういう取り組みも、楽しく学ぶという点で大切だと思います。
小学校低学年から育みたい「メタ認知」
『ベネッセ文章表現教室』は、中学受験用のプログラムではありませんが、読解力や文章力を鍛え、授業の中で楽しみながら語彙力も身につくよう設計されています。続けることで、どういった成果が期待できるでしょうか?
やはり、書き慣れるという点が大きいと思います。文章を書くスキルを継続的に磨いていけるのがいいですね。どんな子でも、書こうかなと思うことはあるんだけれども、書き出しが書けないとそこで詰まってしまいます。そこをトレーニングできるのは大きいと思います。
また、授業のなかで発表する機会が何度かありますね。これは自分が書いたものを見直しているわけで、これも文章力を鍛える上で役に立ちます。
授業の最後にふり返りの時間を取っていますが、これもいいことです。「何をどう思って、どう書いたのか」小学生だとなかなか確認する機会がない。小さいうちからこれをやれば、自分がどういう人間なのか客観視する「メタ認知」が身につきます。
この「メタ認知」こそ、中学入学後も、大人になってからも役立つものです。問題が起きたときや壁にぶつかったとき、何が欠けているのか、どうすればそれを克服できるのか、自分で考えられますからね。
ぜひ、小学校低学年のうちから、トレーニングを始めてほしいと思います。
※1 学力の3要素 出典:文部科学省「教育課程企画特別部会 論点整理 2. 新しい学習指導要領等が目指す姿」(平成27年11月)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/attach/1364316.htm
PROFILE
森上 展安
中学受験指南の第一人者。2004年から受験生の保護者向けセミナーを主催。学校情報に詳しく、中学受験塾や中高一貫校のコンサルティングも行っている。
※サービス内容、役職名など掲載内容は取材当時のものです。